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フリーランスの請求書、源泉徴収と消費税はどう書く?

公開 2026-09-23更新 2026-09-24執筆 フリーランスナビ編集部(合同会社Xsite)読者 個人事業主

源泉徴収の対象は、原稿料やデザイン料、講演料など法律で列挙された仕事。相手が法人か、給与を払う個人の時に限る。率は10.21%、100万円を超える部分は20.42%。消費税を別の行に書けば、税抜額だけを対象にできる。税抜10万円の原稿料なら源泉税10,210円、振込額99,790円。

この記事の流れ
  1. 結論:源泉徴収は仕事の種類と相手で決まり、消費税は別の行に書く
  2. 自分の請求書に源泉徴収の行が要るか
  3. 税抜10万円の原稿料で計算する
  4. 請求書に書く順番と、相手の期日
  5. 用語をひらく
はじめてさん

初めて原稿料の請求書を出します。「源泉徴収して振り込みます」と言われました。請求書にはどう書けばいいですか? 消費税も載せるのですか?

ナビさん

書くのは4行です。税抜の報酬、消費税、源泉徴収税額、振込額を分けて書きます。源泉徴収の行が要るかどうかは、仕事の種類と相手で決まります。

結論:源泉徴収は仕事の種類と相手で決まり、消費税は別の行に書く

源泉徴収とは、報酬を払う側が税金を先に差し引いて国へ納めることです。原稿料やデザイン料、講演料の率は10.21%です(国税庁 No.2795)。令和8年分までの内訳は、所得税10%と復興特別所得税0.21%(所得税の2.1%)です。令和9年分以後も率は10.21%のままで、内訳が変わります。復興特別所得税が所得税の1.1%に下がり、防衛特別所得税(所得税の1%)が加わります(国税庁 No.2260)。100万円を超える部分は20.42%になります。

対象は、法律で決まった種類の仕事だけです。原稿料、デザイン料、講演料が代表です。払う相手が法人か、給与を払う個人の時に限ります。

消費税は、税抜の報酬と別の行に書きます。分けて書けば、相手は税抜の額だけを対象にできます(国税庁 No.2795)。税込でまとめて書くと、消費税を含んだ額が対象です。

自分の請求書に源泉徴収の行が要るか

次の2つの条件を両方満たす時だけ、源泉徴収の行を書きます。どちらか一方でも外れれば、書きません。

条件1:仕事の種類が法律の列挙に入っている

所得税法第204条は、対象になる報酬を一つずつ列挙しています。列挙にない仕事は対象になりません。名目ではなく仕事の実態で判断されます。謝金や取材費という名前でも、実態が原稿料なら対象です。デザインと開発が混ざる仕事は、請求書で項目を分けて書きます。どの部分が対象になるかは実態で決まります。判断は相手の経理か税務署に確かめます。

対象になる仕事の例法律の列挙に入っていない仕事の例
原稿料、さし絵料、作曲料、デザイン料プログラミング、システム開発
講演料、著作権の使用料、放送謝金データ入力、事務代行
翻訳料、通訳料、校正料商品の販売代金
印刷物に載せる写真の報酬
技芸やスポーツ、知識を教える指導料

右の列は、法律と施行令の文言からこのサイトが読み取った例です。迷う時は税務署に確かめます。

条件2:相手が法人か、給与を払っている個人

源泉徴収をする義務があるのは、法人と、給与を払っている個人です。給与を誰にも払っていない個人からの支払いには、源泉徴収はありません。給与を払っていても、例外があります。家事使用人とは、家の掃除や炊事を頼む人のことです。常時2人以下の家事使用人だけに給与を払う個人は、義務がありません。根拠は所得税法184条と204条2項です。相手がどちらかは、相手に確認するのが確実です。

相手源泉徴収の行
法人(会社、団体)書く
従業員に給与を払っている個人事業主書く
常時2人以下の家事使用人だけに給与を払っている個人書かない
給与を誰にも払っていない個人書かない

税抜10万円の原稿料で計算する

原稿料の税抜額が10万円、消費税(10%)が1万円の例です。消費税を分けて書くかどうかで、差し引かれる額が変わります。

書き方源泉徴収の対象額源泉徴収税額振込額
税抜10万円と消費税1万円を分けて書く100,000円10,210円99,790円
税込11万円とまとめて書く110,000円11,231円98,769円

分けて書くだけで、差し引かれる額が1,021円少なくなることがあります。

100万円を超える時の式

100万円を超える部分だけ、率が20.42%になります。税額に1円未満の端数が出た時は切り捨てます。

税抜の報酬計算式源泉徴収税額
100万円以下報酬 × 10.21%10万円なら10,210円
100万円超(報酬 − 100万円)× 20.42% + 102,100円150万円なら204,200円
はじめてさん

源泉徴収の額は、私が計算して書くものなのですか? 相手が計算するものだと思っていました。

ナビさん

計算して納めるのは相手の義務です。ただ、請求書に書いておくと、相手の計算と振込額が揃いやすくなります。書くのは義務ではありません。相手の手間を減らす親切です。

請求書に書く順番と、相手の期日

  1. 相手が法人か、給与を払っている個人かを確認します。
  2. 仕事の種類が列挙に入っているかを確認します。迷う時は相手に聞きます。
  3. 税抜の報酬額を書き、次の行に消費税額を書きます。
  4. 源泉徴収の対象なら、税抜額に10.21%を掛けます。その額を「源泉徴収税額」の行に書きます。
  5. 最後に「振込額 = 税抜額 + 消費税額 − 源泉徴収税額」を書きます。

期日は相手側にあります。相手は差し引いた税金を、支払った月の翌月10日までに国へ納めます。請求書に源泉徴収税額が書いてあると、相手はその額をそのまま使えます。

インボイスの登録番号を載せる場合

適格請求書とは、消費税額と税率を決まった形で書いた請求書のことです。インボイスとも呼びます。出せるのは、発行事業者として登録した人だけです。登録は税務署に申請して行います。登録すると、税務署から登録番号が通知されます。その番号を、自分の氏名か屋号(お店や仕事の名前)と一緒に書きます。登録していない人は、登録番号を書けません。

決まった記載事項原稿料の請求書ではこう書く
売手の氏名又は名称と登録番号自分の氏名か屋号と、通知された登録番号
交付先の氏名又は名称相手の会社名
取引年月日取引した日
取引内容「〇〇原稿の執筆料」など
税率ごとの合計額と適用税率100,000円(10%対象)
税率ごとの消費税額10,000円

源泉徴収税額は、この記載事項に入っていません。決まった位置はないので、振込額の直前に書くと分かりやすいです。

登録していない人の請求書

登録していない人の請求書でも、消費税の額を分けて書けば扱いは同じです。相手は税抜の額だけを対象にできます。国税庁が、インボイス制度の開始後も変わらないと示しています。

用語をひらく

源泉徴収
報酬を払う側が税金を先に差し引き、本人の代わりに国へ納める仕組み。差し引くのは所得税と復興特別所得税(令和9年分以後は防衛特別所得税も)。原稿料などの率は10.21%と20.42%の2段階。
源泉徴収義務者
源泉徴収をして国に納める義務がある側。法人と、給与を払っている個人が当たる。常時2人以下の家事使用人だけに給与を払う個人は除く。
税抜額
消費税を含める前の報酬の額。消費税と分けて書けば、相手はこの額だけを源泉徴収の対象にできる。
適格請求書(インボイス)
登録番号、税率ごとの合計額と消費税額などを決まった形で書いた請求書。登録した人だけが出せる。
登録番号
インボイス発行事業者として登録した時に、税務署から通知される番号。記載事項の一つで、位置の決まりはない。

はじめてさんの追加質問

源泉徴収の額を請求書に書かなかったら、どうなりますか?
請求書に書かなくても、差し引いて納める義務は相手にあります。書いておくと、相手の計算と振込額の食い違いを防げます。なお、適格請求書の決まった記載事項に源泉徴収税額は入っていません。
謝礼や取材費という名前なら、源泉徴収はありませんか?
名前ではなく実態で決まります。国税庁は、謝金や取材費、車代という名目でも対象になると示しています。実態が原稿料や講演料と同じなら、源泉徴収の対象です。
100万円を超える請求は、全額に20.42%がかかるのですか?
いいえ。100万円までの部分は10.21%です。100万円を超えた部分だけが20.42%です。式は「(報酬 − 100万円)× 20.42% + 102,100円」です。150万円なら204,200円になります。

出典(一次ソース・取得日)

  1. 国税庁 タックスアンサー No.2792「源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」(対象の種類・消費税の扱い) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2792.htm(取得日 2026-09-23)
  2. 国税庁 タックスアンサー No.2795「原稿料や講演料等を支払ったとき」(10.21%・20.42%の計算式・端数・名目と実態・復興特別所得税と令和9年分以後の防衛特別所得税・消費税を区分した時は税抜額のみでよい) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2795.htm(取得日 2026-09-23)
  3. 国税庁 タックスアンサー No.2260「所得税の税率」(注記: 復興特別所得税は基準所得税額の2.1%・令和9年1月1日以後に生ずる所得は復興特別所得税1.1%に引き下げ、防衛特別所得税1%相当額を併せて源泉徴収) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm(取得日 2026-09-24)
  4. 国税庁 インボイス制度特設サイト「インボイス制度の概要」(適格請求書の記載事項・登録番号は登録後に税務署から通知) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_about.htm(取得日 2026-09-23)
  5. 国税庁「インボイス制度開始後の報酬・料金等に対する源泉徴収」(登録していない事業者の請求書でも、消費税の額を区分すれば税抜額のみを対象にしてよい) https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/shotoku/gensen/111209/01.htm(取得日 2026-09-23)
  6. e-Gov法令検索 所得税法 第204条(源泉徴収の対象となる報酬・料金の列挙、給与につき源泉徴収して納付すべき個人以外の個人からの支払いの除外、翌月10日の納付) https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033#Mp-At_204(取得日 2026-09-23)
  7. e-Gov法令検索 所得税法 第184条(常時2人以下の家事使用人だけに給与を払う者は源泉徴収を要しない) https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033#Mp-At_184(取得日 2026-09-23)
  8. e-Gov法令検索 所得税法施行令 第320条(翻訳・通訳・校正・技芸や知識の指導料など政令で定める報酬) https://laws.e-gov.go.jp/law/340CO0000000096#Mp-At_320(取得日 2026-09-23)
この記事を書いた人 フリーランスナビ編集部(合同会社Xsite)

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